芭蕉の発句は985句。「旅~」から始まる句は次の8句である。それに付句を添えてみた拙作をここに掲げる。
旅人と我が名呼ばれむ初しぐれ
いつもよりこころひかれるものありて
けさのしあわせこのささやかさ
海の若者 佐藤春夫
若者は海で生まれた。
風を孕んだ帆の乳房で育った。
すばらしく巨くなった。
或る日 海へ出て
彼は もう 帰らない。
もしかするとあのどっしりした足どりで
海へ大股に歩み込んだのだ。
とり残された者どもは
泣いて小さな墓をたてた。
今日は一日快晴にしてウミウは羽根を広げて喜びを現すのでした。(柞田川尻)
秋の航一大紺円盤の中 中村草田男