懐かしい小豆島人
「小豆島連翹」の名を付けし人新任校の生物教師
小豆島植物馴化八代田園主超然と生きし生物学者
ホトトギスその鳴き声を聞くために寒霞渓まで案内せし生徒
こぼれ美島詩に紹介し我も又絵にし献じた詩人女生徒
島影に写生のキャンバス立てるとき後ろにあって見ていた島の子
「娑婆になほ縁しのありて烏瓜」これを辞世に逝きし校長
一人っ子に先立たれたる婦人ありどうすることもできなかった島
子のごとく可愛がられて逃げ出せし下宿の老女時になつかし
若過ぎて頼りない師にもすり寄って親しみ深く声かけし子ら
以来六十年一度も会わない大方の子らも老人になっているのか
