懐しい小豆島人10首


      懐かしい小豆島人

  「小豆島連翹」の名を付けし人新任校の生物教師

  小豆島植物馴化八代田園主超然と生きし生物学者 

  ホトトギスその鳴き声を聞くために寒霞渓まで案内せし生徒

  こぼれ美島詩に紹介し我も又絵にし献じた詩人女生徒

  島影に写生のキャンバス立てるとき後ろにあって見ていた島の子

  「娑婆になほ縁しのありて烏瓜」これを辞世に逝きし校長

  一人っ子に先立たれたる婦人ありどうすることもできなかった島

  子のごとく可愛がられて逃げ出せし下宿の老女時になつかし

  若過ぎて頼りない師にもすり寄って親しみ深く声かけし子ら

  以来六十年一度も会わない大方の子らも老人になっているのか
  

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