私の代表作歌
オリーブは青き音符の実を揺らせ結ばれ難き愛の譜を練る
連翹の島と名付けて幾年ぞその歌声は人に届かず
病窓に触るるがごとき青桐の深きゆらぎをら耐へて看てゐし
うはごとに金のことなど低く言ひ戦争未亡人の母逝きにけり
母嫁せし時のタンスは納屋隅に雪降るごとき閑けさをもつ
母が嫁し我が生まれて育ちたる家今棟木響き立て落つ
朔風の起こる北辺目指し征きし我より若く逝きし思へり
古典とは所詮縁なき男の子らの面晴ればれと漁船乗り出す
六千万年宇宙さまよひ落ち来たる隕石のごとく君を想はむ