男女の不思議 10首
すれ違ひ二度と会へずに終りたる悲運なることふと浮かぶ夜
一緒になれば諍ひ不満現れ出幻滅したかと納得してみる
六十年過ぎても少女そのままの姿で婆とは重ならなくに
暮らしてみれば案外難しい人かもと呟く女の居たのが可笑し
自分にはどうにもならない人ばかり小さき倖せに思ひ直して
身の回り見渡し見れば案外いいと思へるものあり素直になりて
目立たずに野の片隅に咲いて居る花のごとくに人も居るむなり
様々の人生模様眺め見る方が倖せ我が事忘れ
子の自慢孫の自慢をするなかれ聞きたくない人その面前で
神はなぜ雄雌男女を産み分けたかその罪科をしかと聞きたし