芭蕉辞世 10首

          芭蕉辞世 10首

     病院では死にたくはない漂泊の旅に果てなむ芭蕉のごとく

    「旅に病で夢は枯野をかけ廻る」辞世吟ならず生涯皆辞世

    「旅に病でなをかけ廻る夢心」この初案では弱弱しい句

    「生涯の詠句全てが辞世」とは私に宛てたる父の遺言

    芭蕉には真向かい合って旅したい永遠の旅・旅は永遠

    師の季吟遠く離れて自然をば師として生涯旅に生き逝く

    門弟が集まり芭蕉の臨終にやましい心なきにしもあらず

    芭蕉翁とは呼ばないで年下の芭蕉を人生の師として仰ぐ

    我が心旅していつも偽りのない自然の中に芭蕉とともに

    あふれ出る芭蕉讃歌を如何ともなし難く今日も野に出る傘寿


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