旅人と我が名呼ばれん 初時雨
なや昨日は過ぎて河豚汁
いざさらば 雪見 にころぶ所まで
今日ばかり人も年よれ 初時雨
旅に病んで夢は 枯野 をかけ 廻 る
月雪 とのさばりけらし年の暮
面白 し雪にやならん冬の雨
曙や 白魚 白きこと一寸
人に家を 買は せて我は 年忘 れ
初しぐれ猿も 小蓑 をほしげ也
旅寝して見しやうき世の 煤払 い
ひと 尾根 はしぐるる雲か雪の富士
水仙 や白き 障子 のともうつり
乾鮭 も 空也 の 痩 せも寒の内
ひごろにくき烏も雪の 朝哉


