芭蕉の雪 10首 (芭蕉の歌人化)


     芭蕉の雪 10首   ~芭蕉の発句に雅舟が付句を試みた戯作~

   899 富士の雪盧生が夢を築かせたり 謡曲「邯鄲」白銀の山

   901 今朝の雪根深を薗の枝折哉 頼政の如道に迷はず

      901 雪の朝独り干鮭を嚙み得タリ 富家は肌肉食らふとは言へ

   902 黒森をなにといふともけさの雪 白森と言ふのも野暮にして

   903 馬をさへ眺むる雪の朝哉 旅人見るは言ふまでもなく

   904 市人よ此笠売らふ雪の笠 末広がりの狂言まねて

   905 雪と雪今宵師走の名月か 仲悪しき人取り繕って

   906 君火をたけよきもの見せむ雪まろげ 曽良何某は此の辺近く

   907 京まではまだ中空や雪の雲 飛鳥井雅章本歌あるなり

   908 雪や砂馬より落よ酒の酔 酔馬と言ふ村ありければ