芭蕉、桜の発句に付句


  咲乱す桃の中より初桜 
   俳祖宗鑑春眠只中

  初ざくら折しもけふは能日也
   薬師寺月並句会春風

  顔に似ぬ発句も出よ初ざくら
   老衰へし身に立つ曙光 

  姥桜さくや老後の思ひ出
   謡曲実盛討死仕る

  うかれける人や初瀬の山桜
   俊頼の歌もじるも座興

  目の星や花をねがひの糸桜
   祈り捧げる乙女の横顔

  草履の尻折てかへらん山桜
   心残りの枝折り処の春

  命二ツの中に生たる桜かな
   土芳と出遇ふ水口付近

  やまざくら瓦ふくもの先ふたつ
   遠望すれば棚引く霞

  奈良七重七堂伽藍八重ざくら
   リズムに乗りて春のマズルカ 

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