北村季吟と一夜庵


               一夜庵再興賛
 讃州豊田郡観音寺村に一夜庵といへるは、故宗鑑法師の旧地にて、彼所のの七宝山興昌寺の勧進帳も鑑師の筆跡にて残れりしを、ももとせあまり年へたりし跡成ければ、庵の軒端も古風を忍ぶの草のみ所を得て、庭も籬も秋の野等猫のふしどとなるべかりしに、今の庵主宗実、西山宗因に愁へて、因の勧進帳にて世の俳諧の数寄人をすすめて其一夜の名二たびおこりて、すでに枯れたりし木の復花の宿りとぞなれる。


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