清貧に甘んず 10首
『清貧の書』とは林芙美子の作 青年の日の愛読書なり
『清貧の思想』は中野孝次の作 隠遁文学に光当てたり
「清貧」を我が家の家訓として生きることの身に付き一生終える
恋愛という歯の浮くようなこと無縁 ヒューマニズムに徹して生き来し
異性愛のみに浮き身をやつしたる人とは別の世界に生きて
渇しても盗泉の水飲まずという母の教訓今も裡にあり
年金の顔見たること今もなく 細々入る小金で生きる
傲慢の俗人よそに生きている この清々しさは百万ドル也
忍従の寡黙に生きる我が生の共鳴者いつか現れるや否や
清貧に生き来し過去よ それに継ぐ未来に光かかげてくれる