野分 10首


        野分 10首

  台風でないかもしれぬ 野分とは秋から初冬に吹く暴風雨

  前栽の荒れるを見ている紫の上その高貴さを見蕩れる男 

  「野分の又の日いみじうをかし」と清女言ひし草木荒らされそれにも情趣

  『野分』の意書かれていない漱石の『二百十日』と連作短編

  古都京都舞台はさておき『野わけ』とは渡辺淳一不倫の連鎖

  現在進行日本列島縦断す台風24号これも野分か

  防災を担当するいかならん暴風雨の中救助に行くのか

  住む家のない鳥虫たちは暴風雨荒れる時にはいかにか過ごす

    台風が相次ぎ来たる平成の末年にして野党分裂

  人間同士争ひなどはしていられぬ天災地変乗り越えなければ

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