立春10首

 
         立春10首

   立春と言へど楽観できませぬ日本席巻する春嵐

   平成が平静に終る気がしない不吉と言はねど難題が待つ

   胸深く反芻すべき難題が横たはること知るや知らずや

   どうすることもできない道が着きたればただ忍従の苦艱を歩め

   安易なる生き方をせし過ちは自ら償ふ定め持つなり

   立春の川辺歩めば声かけてくれる優しき女人あり

   子を産むが女の定め果たせずにそれも女の春なきひと世

   戦争が終れど父は還り来ず北満早春凍土に果てし

   凍土より芽吹きし命艶紅と咲き出で日本に帰る日迫る

   ことばとはこころの反映まごころをこめて誠の人とならばや
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