新しき年の始の初春のけふ降る雪のいや重けよごと(巻20ー4516
大伴家持)
(新しい年の始めの、初春の今日降る雪のように、良いことが積み重なりますように)
この時の家持をとりまく状況はたいへん苦しいものだった。
橘奈良麻呂のクーデター計画の失敗で親友や友人を失いながら、自分はそれに関わらなかったために、なんとか生き残ることができた。
しかし、生き残ったために抱え込んだ悲しみや苦しみは筆舌に尽くしがたいものがあった。そのような中、どういった気持ちで家持は
因幡国に赴任したのか推し量りながら、朗唱したいものだ。