朗誦用 愛でたい万葉歌(10首歌選)

田児の浦ゆ打ち出でて見れば真白にそ不尽の高嶺に雪は零りける(巻三ー318)赤人

あをによし寧楽の京師は咲く花の薫ふが如く今盛りなり(巻三ー328)小野老

験無き物を念はずは一坏の濁れる酒を飲むべく有るらし(巻三ー338)大伴旅人

銀も金も玉も何せむに優れる宝子に及かめやも(巻五ー803)山上憶良

石ばしる垂水の上のさ蕨の萌え出づる春になりにけるかも(巻八ー1418)志貴皇子

春の野にすみれ摘みにと来し吾そ野を懐かしみ一夜宿にける(巻八ー1424)

春の苑紅にほふ桃の花下照る道に出で立つ乙女(巻十九ー4139)大伴家持

もののふの八十乙女らが汲みまがふ寺井の上の堅香子の花(巻十九ー4143)家持

わが屋戸のいささ群竹吹く風の音のかんそけきこの夕かも(巻十九ー4291) 家持

新しき年の始めの初春の今日降る雪のいや重け吉事(巻二十ー4516)家持