大塚布見子選集(短歌新聞社・全13 巻) 第一巻 歌集¹『 白き假名文字』『水莖のやうに』 〃 第二巻 歌集2 『霜月祭』『夏麻引く』 〃 第三巻 歌集3 『南総譜』『ゆきゆきて』 〃 第四巻 歌集4 『山辺の里』『遠富士』 〃 第五巻 歌集5 『夢見草』『四国一華』 〃 第六巻 歌集6 『こちら向きゐし』『菊の秋』 〃 第七巻 歌論1 『短歌雑感』〃 第八巻 歌論2 『短歌随想』〃 第九巻 歌論3 『続短歌随想』〃 第十巻 歌論4 『短歌歳時記』 〃 第十一巻 歌論5 『続短歌歳時記』〃 第十二巻 歌論6 『彩と歌』 エッセー集 〃 第十三巻 歌論7 『新しい短歌の作法』
『布見子の歌百首』(大塚雅春選)より10首選
小暗きに降りくる雪は天よりの白き假名文字とめどもあらず(白き假名文字)
ふるさとの讃岐山脈かなしけれ触るればこはるるごとき水色(白き假名文字)
国破れし日の碧空は今もなほ瞼にありていくたびの夏(水莖のやうに)
伎藝天のかざすおゆびの繊き先目には見えねど立ちのぼるもの(霜月祭)
藁屋根の低きはやさしわが立ちて手をさしあぐれば廂にとどく(霜月夜)
ふるさとの町をいゆけど知る人の一人しあらずわれは旅人(霜月夜)
をみなごの生れしばかりのまがなしさ見ゆともむあらぬまみのやさしさ(南総賦)
日のさせばかぎろひ見ゆる雲辺寺の山は変らず母ありし日と(南総賦)
散りてくるさくら花びら袖にとめ西上人に香たてまつる(ゆきゆきて)
潮かぜの寒くはあらぬ渚道もとほりゆけば浜大根のはな(山辺の里)