【連翹の島】
いつの間にやら
六十年が夢幻の中に消えていった
小豆島を連翹の島と呼ぶのは
私しかいない その幻影の島
架空の島 と言っておけばいい
世の人は オリーブの島 と言っている島
この島に 世にも稀な奇人がいた
世俗の名利を棄てた 植物学者
島独特の自生の草木の研究と栽培に勤しんでいた
世の人は 変わり者 偏屈者として遠ざけた
自分もまた 遠くから見守っていた
そして その島を離れて 六十年
『連翹の島』と名付けて 歌と本を作った
誰も評価してくれないし 無関心である
●「好きだからって、結婚できるわけではないの」 只今再放送中の『大地の子』より