雅歌仙 (二) 雛の巻 雅澄 雅博 両吟
令和4年3月3日起首 3月14 日満尾
1 雛たちや荒海越えて飛んでゆく 雅博
2 父母引率で帰る雁行 雅澄
3 黄水仙なぜかは知らず母に似て 博
4 出し抜けに来て乳ふくむ孫 澄
5 誰が引くゴウゴウ昇る小望月 博
6 バンドーラ弾く秋希臘人 澄
7 友が作る新米の湯気胸に吸う 博
8 匙加減せぬ一途なる恋 澄
9 謎かけに壹度ならずも迷う我 博
10 誰も止め得ぬ習さん出番 博
11 五輪ありごり押しがあり五里霧中 雅
12 白菜のとう立ち受験生 博
13 産声を挙げる蓮花月涼し 雅
14 土汗まみれ構わぬかの日 博
15 貧窮の百姓一揆処刑さる 雅
16 遺徳はあれど遺恨遺児なし 博
17 花吹雪故里まとめて千の風 雅
18 また生えてくるイモリの尻尾 博
19 若者の墓標ばかりや勿忘草 雅
20 向こうの岸へ静かに祈る 博
21 けっこいは讃岐方言きれい好き 雅
22 讃岐は梅がほこる梅ヶ枝 博
23 はびこった草もコロナも枯れ果てよ 雅
24 凍てる大地で待つ命たち 博
25 永遠の今と彫り込む碑の渚 雅
26 刻んだ日々はみそ汁の味 博
27 蝶が舞う君が主役の晴れ舞台 博
28 奈落の底から這ひ出す男 澄
29 娑婆に出て月さえ眩し番外地 博
30 青の洞門開通秋晴れ 澄
31 抜ける青己を捨てて背伸びする 博
32 弘法に筆の誤りはない 澄
33 書を習い石に座ってもう九年 博
34 世俗超越羽化して仙人 澄
35 見下ろせば花も実もある我が郷里 博
36 混迷の世に春燈灯さむ 澄