戦死せし教え子もあり島の子の我には妹のごとく思へり
島浦のこぼれ美島を教えられし文学少女才弾けたり
手紙全て風呂敷に包み返し来ぬ狂ひし娘病院抜けて
兄の死をこよなくいとしみし師の我を慕ひしくれし妹よ汝
天性の天真爛漫そのままに悪びれもしない円かなるさが
年齢のことなど考えず慕ひより子どもをあやすシングルマザー
教室の一番後ろで内職などせし寺山修司同窓生にして
満洲に父失ひし彼女らと慰霊訪問せし日を忘れず
一言も声かけることなく過ぎし終戦直後の同級生と
入れ替わり立ち代わりして白波の渚を永遠の恋人と呼ぶ