雅歌仙➉「鳥威し」の巻 雅澄 雅博 両吟
令和4年10月18日 満尾
1 自らが囮となるや鳥威し 雅澄
2 鮎の友釣り許せよ仲間 雅博
3 いい別れあばよと言って振り向かず 澄
4 背中で泣いてる唐獅子牡丹 博
5 力づくねじ伏せられるキューピッド 澄
6 今年こそはと弓引く春樹 博
7 奮起して冬彦さんに花吹雪 澄
8 天才散華雨降るビルマ 博
9 生還者戦時の話タブーとす 澄
10 今でも残る遺恨百年 博
11 恩讐の彼方に和解紅葉晴 澄
12 曼陀を越えて栗拾う猿 博
13 お遍路はこれから讃岐涅槃の道 澄
14 蓑着て眺む豊かな平野 博
15 宗鑑のふざけ復活村祭 澄
17 都には遺らぬ鄙の雛人形 澄
18 心を砕く世の難破船 澄
19 吹く風に揺れるコスモス宇宙の海 博
20 ドラマの山はクライマックス 澄
21 シジフォスの岩は転がる永遠に 博
22 貧困飢餓に喘ぐ子蟻らあり 澄
23 豚よりもソクラテスたれやせ我慢 博
24 清濁併せて飲めるか月よ 澄
25 漁夫は言う聖こだわらず世と移る 博
27 笹の香や鰌寿司食べし那古の浦 博
28 グルメの旅が病みつきのもと 澄
29 茸食べ釈迦も芭蕉も極楽へ 博
30 菅公さんが花の微苦笑 澄
31 梅干しの酸っぱさかんで秋日和 博
32 あなたが噛んだ弥勒の薬指 澄
33 指輪捨て眉引き締めて北へ行く 博
34 混迷の世に救済いかん 澄
35 湯気立てる芋の黄金勝るなし 博
36 千秋楽のみやび俗人 澄
以上、令和4年1月から始めた「雅歌仙」巻1 から巻10までを完成することができた。連歌連句の古来の方式に捉われず、自由自在に交互に詠み続けただけの両吟である。「令和新連句」と頭にくっつけておきたい。小休止を置き、できれば連中が加わり賑栄えていくことを願う。