成にけりなりにけり迄年の暮 謡曲終りの常套文句
わすれ草菜飯につまん年の暮 明ければ夢の見果てぬ続き
めでたき人のかずにも入む年の暮 老人福祉有り難き世相
月雪とのさばりけらし年の暮 地に足付かず旅から旅へ
旧里や臍の緒に泣年の暮 遠く小さくははそはの母
皆拝め二見の七五三を年の暮 絵図見るだけ有難きかな
盗人に逢ふふたよも有年の暮 無風流なるこれも俳諧
蛤の生けるかいあれ年の暮 明けてもどうせ吸い物となる
分別の底たたきけり年の暮 お道化自画像突き放し見る
古法眼出どころあはれ年の暮 その絵手放す狩野元信