誤った国策

 他国への侵略は、日本の過去にあった最大の屈辱。今もなお東アジアに責められている。中国東北地区〔満州国〕虚妄の正義、でっち上げ仮装国。深い反省を余儀なくされている日本の宿痾。なかったことにしてくれ、とは甘い味方。その付けは、孫子に及んで今も断絶されていない。何喰わぬ顔をしてそこへ乗り込んでいくことはできない。親の代、その親の代の、薄れていく血のつながり、外縁にしても許されることではな 

 決して好条件ではなかった新天地。第二の故郷を開拓・進行して行った大地満洲ソ連と国境でつながり、昭和二十年八月十二日、不可侵条約を破ってこの時とばかり侵攻してきたソ連。今のロシアのウクライナ侵攻とどれほどの違いがあるか。非難しても詮無いことながら、変わらぬ国家の品格に関わる事柄である。何も今更事挙げしようとは思わない。地勢国柄に魅力のある国であるとは、とても思えない。マイナス四十度に震えるシベリアに近い。なにゆえ帝国日本は国策として無辜の民を棄民政策として彼の地へ追いやったのか。なにゆえその国策を盲進して生命財産を棄却してしまったのか。

 騙した国が悪かったのか、騙された国民が愚かだったのか。その答えの得られぬまま、年月は無情に過ぎ去り、彼の地は零下四十度、我が国は零下四度で震えあがっている。