「たけくらべ」の美登利は筒井筒の物語のように眞如と相会うことはない
「にごりえ」のお力は娼婦になるしか残されていない絶望的な女
「十三夜」のお関は出直しのきかない女の人生の不条理破綻
「大つごもり」のお峯は美徳のヒロインで性的には描かれていない
「われから」のお美尾は夫を捨て幻想など抱いていない悪女
「わかれ道」のお京はどうしようもない無形の孤絶を受け止めている
「裏紫」のお律は夫を裏切り世の桎梏に縛られない淫女
「やみ夜」のお蘭は被害を受けた女の怨恨復讐に重心がある
「うもれ木」お蝶は男を憎みながらも恋しさを断ち切れず煩悶す
「別れ霜」のお峯は盗みの決意から正直律儀の美徳を捨て去る