やっと育った一粒の種(10首歌)

半世紀越えて教え子宮中の歌会始入選をなす

「和菓子屋をなりはひとして五十年寒紅梅に蕊をさす朝」

高校を卒業して間もなく和菓子屋を夫と始め半世紀越ゆ

名門校に進学させお偉い人になったというわけでない

ひたすらに市井にありて一心に働いただけの歌認めらる

宮中松の間では靴の音コツコツとよく響くとか言う

皇后雅子さまに助けられ「坐っていていいんですよ」と言われたとか

報告会呼ぶことにしても遠慮してなかなか応じてくれない彼女

世間の人宮中歌会彼女より身近に知りたい感じたいらしい

級友の事故死を歌にして供えし高校時代の作歌がきっかけ