昔の人今いづこ

一別以来七十年生きていたなら島で会いたい

余命いくばくもない身の上君だってあまり違わない歳

瀬戸内海四方に見渡す岬にて昔語れば至上の幸せ

全国に散って帰らぬ島の子よ七十年ぶりに唯に会いたい

爺婆になっていたとて青春の心のままで会う術なきや

ちぐはぐの人生の道海越えて再び三度会わず過ぎたり

こだわりがあったとは口に出さずとも仄かなるもの命に代えて

過去を美化するな人に言われてもそれならずして生きられなくて

つまらない教師であった詫び状を出したいけれど虚しい余生

濃密な接触はない淡々と師弟関係消えてゆきたり