森のふくろう半歌仙(12)「もずが鳴く」の巻三吟

もずが鳴く金切り声で何歌う    光瀧

 無花果の乱カラスに完敗     雅博

初めての座禅の娘に会い嬉しくて  雅澄

 木は切られても庵は安泰      博

詠み捨てた歌屑の中光るもの     澄

 五百年経て金の茅葺        博

文化財保護職人が念入りに      澄

 日々の暮らしを丁寧に編む     博

ゴキブリが這い回る夜つゆ知らず   澄

 すべての事にトキメキをもち    瀧

金の矢は遠く外れて失せにけり    博

 ブーメラン恋令和を射抜く     澄

欲の果て壊れた星の返り討ち     博

 涼しく生きる地球の果てで     澄

堂々と裏道を行く水滸伝       博

 ジャンヌダルクに荒城の月     澄

古きもの心引かれる無住庵      博 

 宗鑑法師にんまり一句       澄