父と子の半歌仙「年暮れて」の巻

 昭和58年刊  句集『風車』巻末「父子両吟」

年暮れて釧路の霧のなつかしさ   雅舟

 花時計の上今は雪だろ      佳舟(小4)

年末の大平総理の墓参り       雅

 寒菊をあげ線香をあげ       佳

首のいてあわれと言うもおろかなり  佳

 お地蔵さまの三体並ぶ       雅

春のにじ雲一つない大空に      佳

 それは男の未来の夢か       雅

たくさんの農家の人たちネギ植えて  佳

 干拓地には春の風吹く       雅

友だちが車買ったとくやし冬     佳

 忘れてならぬ足あることを     雅

海だって自然は子どもの遊び場だ   佳

 胸深々と潮風を吸う        雅 

青空の団体冬のとんびかな      佳

 紙ヒコーキを父子飛ばす時     雅

年の暮軍人墓地に参りけり      雅

 赤の他人もいっしょに参る     佳