観音寺沖にある
伊吹島には、昔の京都式アクセントを伝える貴重なアクセントが今なお残っている。そのことは数十年前、
香川大学生妹尾修子さんが
卒業論文で取り上げ、指導教官和田実先生が学会に紹介された。その後
金田一春彦先生の実地検証もあり、やや疑問視もされているが、
伊吹島に落ちてきた京都人の訛りが伝えられたという考えは成立される。ここにその一部を提示しておく。
緑濃き 豊かな島や かかる地を 故郷にもたば 幸せならん
方言の研究で知られる
国語学者、
金田一春彦さんは
伊吹島を「全国でただ一か所、平安、鎌倉の京のアクセントを残した島」と紹介した。調査のため来島した際に残した歌を刻んだ碑が、島の玄関口、真浦港を望む丘に建てられている。
「随筆無帽」573号(2011年7月号)草稿