スサノオ自伝

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パロディ小説「スサノオ自伝」(1986年集英社刊)
 世の人々の思い描くスサノオは、真実のスサノオではないとする著者の創作意欲が本書の執筆動機。
高天原の暴れん坊!? 冗談じゃない!」黄泉の国から現世を見ていたスサノオノミコトが、今こそ真実の我が生涯を語るために立ち上がる…。純情果敢に生命を謳歌するスサノオ像を描く抱腹絶倒の書。図体だけは大きいが、イジメられっ子だった幼年時代。アメノウズメの性教育にぶったまげた少年時代。自由恋愛主義のオーゲツ姫に嫉妬の炎をかきたてられた青年時代。戦争での大活躍と、反逆罪の罠。そして放浪の旅…。陽気で奔放な古代の自然の中で、“純情果敢”に生命の猥雑さを謳歌するスサノオ、その声を聞けという新鋭(当時)の歴史大長編。
 

スサノオ自身が遠い時を経て黄泉から明かすスサノオ神話の真実自伝。まちがいなく作者の創作。この話を読んだら『古事記』の話がてんでうそっぱちに思える。
 自伝と言っても、『古事記』『日本書紀』に出てくる「素戔嗚尊の自伝」という奇抜な発想による空想小説。
 まえがきに「1986年9月13日 黄泉国の寓居にて スサノオ記す」とある。
 
 

 
   在来の観念としてのスサノオ
 『古事記』によれば、建速須佐之男命はそれを断り、母神伊邪那美のいる黄泉国に行きたいと願い、伊邪那岐の怒りを買って追放されてしまう。そこで建速須佐之男命根の国へ向う前に姉の天照大神に別れの挨拶をしようと高天原へ上るが、天照大神は彼が高天原に攻め入って来たのではと考えて武装して彼に応対し、彼は疑いを解くために宣誓を行う。
 誓約によって潔白であることが証明されたとして建速須佐之男命高天原に滞在するが、そこで粗暴な行為をしたので、天照大神は天の岩戸に隠れてしまった。そのため、彼は高天原を追放され【葦原】の中つ国へ降った。
 (【芦原】すなおのペンネームもここらあたりに起因しそうだ)