来週の源氏物語講座は「花宴」

  第八帖 花宴
 如月に紫宸殿で催された桜花の宴で、光源氏は頭中将らと共に漢詩を作り舞を披露した。宴の後、朧月夜に誘われふと入り込んだ弘徽殿で、源氏は若い姫君と出逢い契りを交わす。素性も知らぬままに扇を取り交わして別れた姫君こそ、東宮の入内が決まっている右大臣の六の君(朧月夜)だった。一月後、右大臣家の藤花の宴に招かれた源氏は装いを凝らして訪れ、歌を詠みかけて目指す姫君を見つけ出した。
 
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如月の二十日あまり、南殿の桜の宴せさせ給ふ。后、春宮の御局、左右にして、参う上り給ふ。弘徽殿の女御、中宮のかくておはするを、をりふしごとにやすからず思せど、物見にはえ過ぐし給はで、参り給ふ。
 日いとよく晴れて、空のけしき、鳥の声も、心地よげなるに、親王たち、上達部よりはじめて、その道のは皆、探韻賜りて文つくり給ふ。宰相の中将、「春といふ文字賜はれり」と、のたまふ声さへ、例の、人に異なり。次に頭の中将、人の目移しも、ただならずおぼゆべかめれど、いとめやすくもてしづめて、声づかひなど、ものものしくすぐれたり。さての人々は、皆臆しがちに鼻白める多かり。地下の人は、まして、帝、春宮の御才かしこくすぐれておはします、かかる方にやむごとなき人多くものし給ふころなるに、恥づかしく、はるばると曇りなき庭に立ち出づるほど、はしたなくて、やすきことなれど、苦しげなり。