中村明著『名文』ちくま学芸文庫
名文とはどのような文章だろうか。名文の条件は「匂うがごとく」「品格」があり、「すっきりと判りやすい」「通達性」がなければならない。悪文と駄文の違いは自ずから分かる。
谷崎潤一郎『陰翳礼讃』 太宰治『富嶽百景』 小林秀雄『ゴッホの手紙』 吉行淳之介『驟雨』 北杜夫『幽霊』 石川淳『紫苑物語』 室生犀星『杏っ子』 安岡章太郎『海辺の光景』 島尾敏雄『出発は遂に訪れず』 辻邦生『旅の終り』 小川国夫『貝の声』 丸谷才一『笹まくら』 宮本輝『螢川』等
50人の作家の多彩な名文例の精緻な分析を通して、その名文性のありかを探りつつ、名文のスタイルの構造を解明する労作。日本文学を愛し、日本語に心をよせる人びとのための必読の現代文章読本。