〔眉〕10 首歌

「あたしネねていたの」と眉かきあげし人を忘れず

眉掃を俤にして紅粉の花(芭蕉)末摘花のあつき唇(雅舟)

「理想にこぞる眉あげて」校歌に詠まれる若者の面

濃き黛よりもかすかな薄黛の人なつかしと想ふ早春

コロナ禍のひひな祭りのひそやかに雛の眉(まよ)引き匂やかにして

生まれつき眉目秀麗ただ少し足りないところこらえる女

眉に唾付けて騙されないようにまじないをする眉唾物は

まだ老いの衰え見せずゆくりなく眉目温厚の故旧に会へり

山雀の眉間の白が桃色の桃に映えたり逢引の径

Musicコンクレートの作曲法涅槃交響曲に聴き入る

f:id:gashuu:20210309125449j:plain