聖五月(10句)

五月山の暦の始めとす         青柳志解樹       

目つむりていても吾を統(す)ぶ五月の鷹   寺山修司

鉱山の五月のさくら小さく咲く      阿部みどり女

暮れて着く湯町明るき五月かな      井本農一

五月の夜未来ある身の髪匂う       鈴木六林男

肉桂の葉噛みて五月の母の唄       磯貝碧蹄館

一神事五月の風を奉る          高木石子

子の髪の風に流るる五月来ぬ       大野林火

わがつけし傷に樹脂噴く五月来ぬ     木下夕爾

隠岐牛の黒光りして五月来ぬ       山崎房子