如月・節分の句

海は二月ときに散骨へのあこがれ  水野政次

きさらぎの言葉つぎ足す町はずれ  増田 連

如月の海の光に海女の葬      内山みちこ

節分の句の関守りて老いにけり   鈴鹿野風呂

逃げ隠れせぬ節分の鬼瓦      丸井巴水

肝臓を使い古して寒明ける     小島橘香

 

【自己~】四字熟語(10首歌)その2

真の自己の資質能力発展させる【自己実現】は誰もの願い

総資本から負債を除いた純資産【自己資本】はどれほどあるか

【自己主張】強過ぎる人嫌われるしっかり者とはお世辞に過ぎぬ

【自己疎外】自己実現で分裂し自己とは別のものになること

【自己破産】債務者自ら申し立てお手上げですと助けを求む

自己批判】なかなかできないことであるそれができれば見上げたものだ

経歴趣味を縷々言う前に名乗ること忘れがちなる【自己紹介】

自らが自己の存在の原因となっているという哲学の【自己原因】

「自己中」の流行言葉もやや廃れ【自己中心】の人いつの世にも多し

本来は自己の内部で抗体をつくらないのに【自己免疫】生ず

 

畳語(10首歌)

【藹藹】と草木が繁る営みは自然の心の優しさとみる

【営営】と築き上げたる当会社一瞬にして灰燼に帰す

【淡淡】として難会議こなしたる彼の力量に敬服したり

【錚錚】たる顔ぶれの人集まりて期待外れ結果になれり

耐えに耐え気息【奄奄】たどり着き希望のPost手に入れしかな

逆らわず【唯々諾々】と追随す自分はいつか腑抜けの殻に

【諸説紛紛】まとまらず終る責任は各人にある連帯責任

【戦戦兢兢】謹んで得た結論に縛られるのも自業自得か

【侃侃諤諤】議論の末に得られたる最善策を玉条として

苦労せず手に入りたる遺産あり【悠悠】【閑閑】日日を送るなり

 

飽食の時代に(10首歌)

戦死者の大方飢死だと言う人あり米飯などは夢のまた夢

食べられるものは皆食べとかげ蛇そんなものなど平気で食べたと

行軍の途中で脱落するならば死と同じだと付いて行ったと

戦友は互いにかばっていたけれど飢え極まれば餓鬼になることも

贅沢の限りを尽くす現代の食生活を文化と言えるか

生きる死ぬ境を越えて復員せし者には全ては馳走選り好みせず

使い捨て余りを捨てる天罰はいつかは下る間違いもなく

余り物飢えたる国へ捧ぐべし世界の貧富差あまりにひどい

餓死する子多き国民アフリカへ届けてほしい日本の余剰

食べること今中断しこの歌々飢えたる国民に捧げたいと思う