2017-10-01 森川義信詩碑「勾配」 剣持句集 #俳句、川柳 戦没詩人【森川義信】 筑摩書房の高等学校用『現代文』教科書に載せられている。先輩をこの教科書で学習し、教えることに誇りを感じている。教科書準拠『演習国語Ⅱ』では、森川義信の代表作「勾配」が載せられている。 勾 配 森川義信 非望のきはみ 非望のいのち はげしく一つのものに向かって 誰がこの階段をおりていったのか 時空をこえて屹立する地平をのぞんで そこに立てば かきむしるように悲風はつんざき 季節はすでに終わりであった たかだかと欲望の精神に はたして時は 噴水や花を象眼し 光彩の地平をもちあげたか 清純なものばかりを打ちくだいて なにゆゑにここまで来たのか だがみよ きびしく勾配に根をささへ ふとした流れの凹みから雑草のかげから いくつもの道ははじまってゐるのだ