回想・小豆島20句

  小豆島20句

初凪や島浦の波時に冴え

島の春バスの中より会釈せし

恵まれぬ子と城山の花に逢ふ

渚とは海辺の家の姓なりし

オリーブの葉蔭に島を満喫す

寒霞渓深山連翹ひそと咲く

小豆島連翹知りて半世紀

子を負ひて海苔採る女川渡る

蛸壺の積み重なりて浜秋陽

黄水仙岬回ればまた岬

春秋の島浦写生し尽くせり

雪音なく卒業式の半ばより

千羽鶴餞にくれし乙女かな

桐は実を緑に結び姉嫁ぐ

島を去る覚悟もできず花杏

浜に寝て帰る朝の朧月

帰心ただ雪に流して笛吹きぬ

失ひしものの如くに柿落つる

連翹は実の成らぬ花島遥か

クリスマス俳人校長召天す

 娑婆になほ縁しのありて烏瓜(五黄)
浮標喰む四温崩れの波頭(五黄)