詩人森川義信詩碑を守る

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    勾配     森川義信

 非望のきはみ
非望のいのち
はげしく一つのものに向つて
誰がこの階段をおりていつたか
時空をこえて屹立する地平をのぞんで
そこに立てば
かきむしるやうに悲風はつんざき
季節はすでに終りであつた
たかだかと欲望の精神に
はたして時は
噴水や花を象眼
光彩の地平をもちあげたか
清純なものばかりを打ちくだいて
なにゆえにここまで来たのか
だがみよ
きびしく勾配に根をささへ
ふとした流れの凹みから雑草のかげから
いくつもの道ははじまつてゐるのだ

f:id:gashuu:20200429184630j:plain 香川県観音寺市粟井町本庄 森川義信生家前 詩碑「勾配」