藤沢周平 琴線に触れる10句

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  ひたひたと秋の海鳴る磯の日に

  残照の寒林そめて消えむとす

  落葉無心に降るやチエホフ讀む窓に

  いささかの無頼が萌すマスクの中

  わが虚飾砕かれて咳飛び出づる

  河船の一群のぼる夕焼中

  雲映じその雲紅し秋の川

  曇天の黄菊の光暮れ残る

  夕焼けの褐せしあと立つ雲のあり

  埋立地短き秋の夕焼果つ

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