父の遺言状

俳聖芭蕉は臨終の時、弟子より辞世の句と望まれ「吾生前の句皆辞世の句ならざるはなし」と言った。自分は常に右の事を念頭に置いてゐた。故に殊更遺言めかしきものはない。生涯の言行、之れ皆遺言と思はれたし。吾今国の為に死す。死して君親にそむかず。悠々たり天地の事。感賞明神に在り。之れが亦最後の感懐である。

吉田松陰の辞世〕が本歌になっている。 

〈五言絶句〉

 吾今国の為に死す 死して君親にそむかず 悠々たり天地の事 鑑照明神にあり

〈短歌〉

 身はたとひ武蔵の野辺に朽ちぬとも留め置かまし大和魂→豊浜暁部隊の「留魂像」