道真、讃岐松山での漢詩

七言律詩 晩春松山館に遊ぶ   菅原道真 

官舎軒を交へて 海の畔に枕(よ)る

去来する風浪 塵を生さず

危石を転し移して 中道を開く

小松を分ち種(う)ゑて 後人に属(つ)く

翔を低るる沙鷗は 潮の落つる暮

糸を乱る野馬(かげろう)は草の深き春

釣の歌漁りの火は 交りの友に非ず

膝を抱きて閑吟すれば涙巾(たのごひ)を湿(うるほ)す