芥川龍之介「侏儒の言葉」を歌にする(10首)

一箱のマッチのような人生なり重大視せず軽んじもせず

自己弁護に長じなければ世に言われる言行一致の美名得られず

牝女人軽蔑すれば狂死したりするのはその呪いのためか

運命は性格の中にあるもので偶然よりも必然である

人生の悲劇の第一幕は人間が親子になったことに始まる

古人は神の前に懺悔した今人は社会の前に懺悔している

複雑な人生を簡単にするものは権力暴力以外にはない

詩的表現できない者は性欲のみで恋愛と呼ぶに値しない

恋は死よりも強しと言うけれど食欲利欲その他もろもろ

悉達多は六年の苦行の後に菩提樹下で正覚した