花岡青洲の妻

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 青洲の麻酔薬はようやく完成しつつあった。と言っても、動物実験だけであり、この先、人間で試すにはどうすべきかと途方に暮れている。そんな青洲に、於継は実験台になると言い出す。それを聞いた加恵も俄かに、自分で試すようにと迫る。どちらも引かないのを見て、青洲は二人にやってもらうと重い腰を上げる。
 母には睡眠薬を飲ませるが、それでは実験の意味がないと加恵に説得され、妻には麻酔薬を服用させる。二度ずつの実験の結果、加恵は最初の薬の副作用で失明してしまう。青洲はそんな加恵を痛ましく見守り続けることになり、実験台としても、また青洲の奪い合いにも敗れたと知った於継は老いて亡くなる。
 女の胸を切ることは命を奪うことになると言われていた当時、妹の於勝の乳癌を知っても手を出しかねた青洲にとって、大きな転機が訪れたのだ。
 青洲は世界初の全身麻酔による手術を行って、乳癌摘出に成功する。
 青洲の名は高まる一方であり、その陰には母と妻の献身があったと語り継がれる。