島比呂志の名作「菜種梅雨」

ハンセン病の小説家島比呂志の中編小説「菜種梅雨」
 異郷鹿児島にあって、菜殻火を焚く白煙を見ながら、故郷讃岐を思い描く終章からこの題名は付けられている。若き日にこの病に罹り、逃れるようにしてきた最果ての地に棲み、望郷の念は禁じ得ず、魂の飛翔して懐かしい風景に帰り着く。
 
 
 【菜種梅雨】
 梅雨の現れる春の長雨。花を催す雨。催花雨が菜花雨になったともいわれる。梅雨に似た気圧配置で、気温が低くて雲が多い日が何日も続いたりする。
 
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 島比呂志が亡くなって7年。観音寺に帰りたいと願いながら生前には帰ることが出来なかった「魂の帰郷」がこの作品には丹念な筆致で書かれていて、胸を打つ。