粟島は、瀬戸内海塩飽諸島の西端に位置する。この島を、香川県に赴任した県外出身のアナウンサーの大方は、「アワシマ」の「ワ」を高く発音する。このように地元固有発音と違った発音をされると、粟島という気がしない。「ア・ワ・シ・マ」と高低なく平板型で言ってほしい。
『万葉集』には「粟島」が出てくるが、これはここ粟島とは違う。島に渡ると、船着き場付近に「粟島」の名を詠み込んだ歌碑(ただし、木の柱)があるが、何の説明もないと、ここの歌かと錯覚するので、いかがなものか。

安波思麻能 安波自等於毛布 伊毛尓安礼也
夜須伊毛祢受弖 安我故非和多流 (巻15ー3633)
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粟島の 逢はじと思ふ 妹にあれや
安寐も寝ずて 我が恋ひわたる
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武庫の浦 榜ぎ廻る小舟 粟島を
そがひに見つつ ともしき小舟 (巻3-358)