七夕豪雨10首

  
      七夕の夜は豪雨に黙して

  この聖なる性を愛して昇天す七夕の夜は全国豪雨

  色欲に耽溺するは生き物の原罪なりと知るや知らずや

  鮮やかにまた濃密に講じたる後にも悔いは鬱勃と湧く

  愚かなるトーダイ病患者あり心空疎な憐れなる人
  
  病院に関わりもなく横柄に昭和平成跨いで生き延ぶ

  日毎老いるぼやきを漏らす友もあり我は日毎に若返るらし

  老い耄れの姿の映る鏡見ない自分は誰より若いと思い

  スプリング湧き出づる♡溜め置きてかの山奥に燃えて尽きなむ

  芭蕉にも西行宗鑑法師にも底流するは黙したる哀憐

  沈黙は黄金にして時を得て君への告白ゲーテに負けじ

イメージ 1