剣持歌集

海猫の群れ

何のためにこの世に生まれてきたのですかとたずねても無駄

令しき季節

令しき季節は真冬 凛冽の白梅を恋ふ真夏生まれは

令しき立秋和む白雲

真夏なほ峠は越えず 令しき今朝立秋の白雲和む 雅人

梨と藤の花の返り咲き

我が庭に梨と藤との返り咲き 我が人生も返り咲かぬか

清貧に令和を生きる

ほととぎす

ほととぎす求め続ける島娘孫娘なりすずと夏なり

心の花

一輪の心の花を裡に秘め開拓の地を求め続けむ

エゴイスト10首

エゴイスト10首 相手思う心のなきや自分に危害なきこと祈るエゴイストあり 痛手受け沈んでいるに古傷に触るがごとき自己保身術 兄弟は他人の始まり連れ合いは他人の他人それも肯う 今ここに生きる命を大切に先々のこと視野から外せ 目の前の人の心を読めなく…

夭折の牧師、卒寿の父が悼む

若くして逝きし牧師の吾子想う卒寿の父も先年逝きし

日々ささやかな発見10首

日々ささやかな発見10首 見逃していいものばかり人生の些事積み重なって抵抗もなく 輝ける花のある時逸早く我の発見歌えば永遠 誰一人見つめる花にあらねどもぴしりと撮れば永久に遺るなり 海浜に麗し姿態のぞかせる姿態を撮れば他者に魅入らる ささやかな親…

スイレン、今朝開く

今朝開きし睡蓮ありて昨日まで閊えていたもの霧消したりき 雅澄

昆虫採集するにあらねど

幼子の家にあらねば昆虫を採る意欲なく眺めて居たり

高校時代のあなたにЖ

しっとりとあなたのあの日あの時は歌口ずさむ乙女でありき

木花咲耶姫(このはさくやひめ)

正々堂々と負ける10首

正々堂々と負ける10首 勝つために勝ち越し三役維持するため姑息な勝ちはいただけませぬ 突進す琴奨菊をはたきこみ平気で若者勝ち名乗り受く 堂々と向かってほしい負けようがそれでもファンは声援挙げる 勝ち負けに拘り過ぎる俗世間過程無視して結果オーライ …

創作人生10首

創作人生10首 人真似を避けてひたすら自己流の我がまま通しもの書き描きし 師に付かず独流通し八十年書画楽しみぬてらいもなくて 師に付けば伸びる才能あるはずと勧めてくれてもそのままとなる 売りに出すほどの作品創り出す努力重ねず無心で書きしのみ 人…

虎きち10首

虎きち 10首 阪神の公式戦が高松であってそれより虎きちとなる タイガースファンになって七十年その少年は超高齢者 クリンアップ別当藤村土井垣など背番号皆覚えています お願いのはがきを出せば阪神の選手のサインもらえたものです 甲子園球場高校野球のみ…

警世10首

警世 10首 どうしても好きになれない人がある分からぬように上手に避ける 今更に直らぬ悪癖もつ人を遠く退け気にせず過ごす 思いやり孔子はそれを「恕」と述べる自己に忠実「忠」より大切 自分より他者を大事にして生きる被害妄想我が身をかばう 徳ある人…

鳩の群れ

鳩の群れ令和会議に参集す 参議院など関係ないと

海の歌

即興詩

即興歌

授かりし命生きて

授かりし命を生きて花影の奇しき定めの分き難きかな

心遣い10首

心遣い10首 返礼をされて恥じ入ることもあり適度というは世に難しい 古傷に触られることたまにあり悪意あるとは思われずとも 沈黙は黄金であること間違いなし禍の元お喋りである 子も孫もいない人あり心なき年寄り多く子孫の自慢 褒めておけばいいわけでな…

君が代のさざれ石

古義庵を訪う者

古義庵を訪う者は雀燕か 鴻鵠の志知るすべもなし 雅人

家出せし猫を探す女あり

家出せし猫を捜せる女あり 「見かけたら警察に連絡してね」 雅人

花は花、人は人。

自然の物は何事もなく

鳶を撮るのは難しい

細密に撮るのは至難 安物のカメラしかない私めなれば 大空を自分の国にして飛べる鳶の集団撮るのは至難

花に蝶

人様に蝶よ花よと言はれしは昔き令嬢今優婆塞