先輩紹介(森誓夫氏)

      先輩紹介シリーズ⑦

   エネルギー資源確保のリーダー     森 誓 夫 氏      昭和三年三中卒業

  観音寺市流岡町出身。昭和九年商工省(通産省)に入り、軽工業局長、公益事業局長などを歴任した。その後、日本アビオニクス()常務取締役、共同石油()代表取締役社長、石油資源開発()代表取締役社長等を歴任し、実業界でも活躍した。昭和六十一年勲二等瑞宝章、平成十三年逝去。享年八九歳。三中時代の同級生には、大平正芳総理、京大教授佐伯富、医師松岡健雄等。長く続いた三中二四回同窓会の全記録が観一百周年記念館に保存されている。また、三中出身の十人が収録されている昭和『現代香川の百人』の一人として森氏も紹介されている。

座右の銘

無道人之短、無説己之長。施人慎勿念、受施慎勿忘。世譽不足慕、唯仁為紀綱。

中国古代の崔子王の言葉であり、空海が引用。

(人の短所を言わず、自分の長所も言わないでおこう。人に物品を与えたことは気に掛けず、与えられたことは注意して忘れないようにしよう。世間での誉れというものは追い求める価値などなく、仁をこそ基準としよう) 人道主義・人間愛。

  短歌を嗜み「アララギ」に所属、比島戦線に動員された折の短歌三七二首は歌集『南溟』にまとめられている。後に『昭和萬葉集(講談社)に次の六句が載せられている。

 夜光虫船の舷近くまさやかに流らう見ればはる

けくもなし

わが友の遺骨を持てり還る日のありと思へる

われならなくに

餓死したる友の袋に一合の米包まれてありた

るあわれ

服のまま白骨は寝ていたりけり流れを呑みて

ここに果てけむ

屍の匂ひ厭はずなりぬこの山に飢え果つる日

の近づきしかば

東に直に航くなり船尾なる水平背に低き夕焼

(帰還途次)

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