二人目の戦死せし子の広報を祖母はどんなに受け取ったか知らず
還ってくれば食べさせようとした餅も虚しく黴が生へてしまへり
必ずや還ってくると信じたる夫は遺骨で還って来たり
思い出の少なき子らと異なりて妻なる母は嗚咽して泣く
隊員の胸に抱かれて父の遺骨ことこと音立て還って来たり
村葬が小学校の講堂で営まれたり英霊として
戦没者何が英霊ぞ犬死でないかと詰め寄りたくはなっても
戦没者の母なる祖母と妻である母は共に戦争犠牲者
母子家庭安閑とできず石に齧りついても生きねばならぬ
禍を福と為して奮闘逞しく第一線で勤めし母子