「夏の夜や」歌仙

今宵賦 支考 今宵は六月十六日のそら水にかよひ、月は東方の乱山にかかげて、衣装に湖水の秋をふくむ(後略)

夏の夜や崩れて明し冷し物 芭蕉

 露ははらりと蓮の縁先  曲水

鶯はいつぞの程に音を入て 伏高 

 古き革籠に反故おし込  惟然 

月影の雪もちかよる雲の色 支考 

 しまうて銭を分る駕かき 芭蕉

猪を狩場の外へ追にがし   翠

 山から石に名を書て出す  高

飯櫃なる面桶にはさむ火打鎌 然

 鳶で工夫をしたる照降   考

おれが叓哥に讀るゝ橋の番  蕉 (後略)