危険な俳句 10句

灯をともす指の間の春の闇      高浜虚子

いなびかりひとと逢ひきし四肢てらす 桂信子

死なうかと呟かれしは蛍の夜     鈴木真砂女

湖畔亭ヘヤピンこぼれ雪匂ふ     西東三鬼

赤い月人間しろき足そらす      宮澤赤黄男

雄鹿の前吾もあらあらな息す     橋本多佳子

色白や鬼灯はさむ耳のたぶ      井上井月

スケートの濡れ刃携へ人妻よ     鷹羽狩行

雪夜にてことばより肌やはらかし   森澄雄

あきざくら咽喉に穴あく情死かな   宇多喜代子