万葉集には、嫁菜(うはぎ)、この二首

 
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  「うはぎ」…『万葉集』では、次の2首に詠まれている。
 
    ★妻もあらば摘みて 食(た) げまし狭岑の山
             野の上(へ)のうはぎ過ぎにけらずや (巻2ー221)
 
     春日野に煙立つ見ゆ少女(をとめ)らし
              春野のうはぎ採(つ)みて煮らしも (巻10ー1879)
 
 ★香川県坂出市の今は陸続きとなった沙弥島。『万葉集』に出てくる狭岑(さみね)の島で、人麻呂が水死者によせる長歌反歌。「この人に妻がいっしょに居たら、このうはぎを摘んで食べさせただろうに、もう島のうはぎは若葉の季節を過ぎてしまっている」と嘆く。
 うはぎ(ヨメナ)は、春先、若芽を煮ておひたしにすればおいしい。花季は7~10月、直径約3㎝の帯青紫色の花を枝先につける。背丈は0.5m~1.2m。よく気をつけていると、山際のすそ野や道端の少し湿気のあるところで小さく群れて咲くのを見かける。剣持万葉植物園では、今日も咲いている。野菊でもある、うはぎ(嫁菜)。
 野菊の如き君は遠い、はるかなる存在…時は流れ、事過ぎてゆく…